「もう一度、練習させて下さい」
「……へえ?……あんた、男に目覚めでもしたの」
ニヤニヤと、茶化したように言う穂積の言葉を無視してネクタイを乱暴に掴むと、そのまま噛みつくように口付けた。
そうしてそのまま穂積の唇に歯を立てて、微かに流れ出た血を舐めとってやれば。
「い…、ったい…なぁ」
だなんて言いながらも、その瞳には明らかな欲情の色を含んでいて。
僕はそんな穂積を嘲るような笑みを零しながら、挑発的な台詞を、その耳元で甘く囁いてやる。
「そうだ、って言ったら…責任取ってくれるんですか…?」
穂積はその質問に応えるように、僕の首に腕を回し、手慣れた様子で自らキスを強請って来た。
「…っ…は…ぁ、」
男同士のキスなどなんら抵抗もないような、手慣れた仕草。
穂積は僕の舌を吸い返し、もっとと強請るような視線を向けてくる。
僕はそんな穂積の挑発に乗るように、更に口づけをより深いものに変え、そしてゆっくりと服越しに穂積の脇腹に手を這わせれば――。
「…ぁ、ん…っ」
まるで女のような、甘い声を漏らしながら穂積は僕に訴えかけるような眼差しを送って来たのである。
……………
………………………
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「…っ、ン…ま、っ、ぁあ…!」
センディングが、キスよりも肌を重ね合わすのが一番早いと言ったのは、今僕の下でだらしなく表情を緩ませ揺さぶられているこの男だった。
「どうですか、僕のセンディング?」
「…ン、ぁ…は、…コッチも、上手いモン、だな…っ」
男相手に、ましてや無限伴侶である彼以外に、興奮する筈がない、と思っていたが…。
この男、流石に煽るのがうまかった。巧みな煽りに、何処からどう見ても男にしか、同性にしか見えない相手を視界にうつしても、彼に飲み込まれた僕の欲望は萎えることはなかったのだ。
「コッチ、って一体どっちの事だか」
嘲るように笑いながら、腰を強く打ちつけて。
僕の下でピクピクと身体を震わせ喘ぐ穂積に、本日何度目か解らぬ欲望を吐き出すのだった――。