お気に入りのシャツ姿で唇をなぞっている浅葱カイリを妄想してみよう。 http://t.co/6iVopus
――衣裳部屋にて。
「ホント、勿体ないですよね…」
いつものようにご主人様のスタイリングをしながら、奥底に仕舞われた所謂もう着ない洋服たちの方に視線を遣りながら言う。
「ふん、気に入ったのがあれば勝手に持っていけ」
「……、じゃあお言葉に甘えさせて貰いますね。」
そうして何着もある中から、シンプルながらも仕立てのよい、センスの良さが窺える一枚のシャツを手に取った。
※
ふわりと鼻腔を擽る洗剤のにおい。このシャツからかおるのは、ご主人様のものじゃないけれど。
ーーまるでご主人様に抱きしめられているみたいだ、なんて。馬鹿らしい考えが頭を過る。
「……ご主人、様…」
あれから何度、こうして自分には少し大きいシャツに袖を通したことだろう。
――そうして、自分が無意識に彼のことを呼んで、唇をなぞっていたことに気付いた時、いつの間にやら自分が絆されていることに気付いてしまい、浅葱はただ唇を噛み締めるしか出来なかった。