「……ふ…」
自身に纏わせたチョコレートを美味しそうに舐めとるアルバートに、万里は短く艶かしいため息を落とす。
先ほどまで力のなかったそれはすっかりと熱を取り戻し、凶悪にそそり立つ先端からは先走りの粘液を滴らせていて、アルバートは意地悪い笑みを浮かべながら、そんな万里のペニスをイイトコロを少し反らして舌先で抉るようにして攻め立てた。
「…ン、…は…ぁ…っ」
万里から無意識に漏れ出る甘いため息に、また小さく笑みを零してアルバートは、ふ、と万里の成長しきってぴくんぴくんと快楽にうち震えるペニスから顔を離したのだった。
「……っ、」
突然与えられていた快楽をお預けさせられた万里からの非難めいた視線にも、アルバートは不敵な笑みを返すのみ。
それどころか、後ろで自身を慰めながら、そんな二人の絡み合いを食い入るように眺めていた四人の黒人集団の方を振り返ると、コテンと小首を傾げながらとんでもない事を口にするのだった。
「さあ―――、これが私からのバレンタインです。Amusez-vous bien!」
その言葉を皮切りに、四人は飢えた獣のような瞳を携え、万里に覆い被さって来た。
こうして黒人を労るという名目のバレンタインデーの、最後の欲望に塗れた宴は幕を開いたのである。――万里の、全く予想だにしない形で。
♂ ♂
「…く、…そっ、は…お前らッ、しつ、こい…ぞ」
前からはラリーによりねちっこくチョコレートを塗りたくったペニスをしゃぶられ、後ろからはエミリオによって蕾のシワを執拗に舌で拡げては舌先を尖らせアナルを突かれて。
両の乳首はジャッキーとトムにより真っ赤に熟れた果実のようになるまで舌で嬲られたり、指先で痛いくらいに摘まれたりを繰り返されて。
精一杯の虚勢でそう吠える万里だが、ねちっこい、けれど的確に快楽のポイントを攻められ堪らずに腰をくねらせ、無意識にラリーとエミリオに攻め立てられるソコを押しつけるように腰を揺らす。
「…はぁはぁはぁ……。くぉぉおおおお!!たまらねぇ…!」
「これは、予想以上だなあ」
エミリオが興奮気味にそう吠え、荒く熱っぽい息を吐いた。
荒っぽく舌先で万里のひくつくソコを攻め立て、片手では自らのいきり立ったものを扱きながら。
後ろを荒っぽく勢い任せにエミリオに攻め立てられ、それとは対照的に柔和な、けれど感情の読めない笑みを浮かべるラリーによって的確に、容赦なくピンポイントで弱いところを攻められる自身。
それは快楽にうち震えヨダレを垂らす自身とチョコレートとが混ざり合い、えも言われぬ嫌らしさを纏っていて。
「はっ。随分、可愛い顔すんじゃねーか」
「………まるで、女のようだ」
与えられる快楽にぼんやりと蕩けていく頭に逆らう気力も湧かず、ただその快感を甘受していると、そんな茶化すような言葉を共にジャッキーにより顎を掴まれ、落とされたのは噛みつくような口付けだった。
荒っぽい口付け。ぷっくりと充血しきった万里の乳首を抓るように愛撫する、荒っぽい手つき。
そしてそれとは対照的に、もう一方の乳首を丁重に攻め立てるトムの舌遣い。…なにもかもが、対照的な愛撫に、万里の身体はすっかりと翻弄されていた。
「……はっ、うるせーよ」
乱暴にされたと思ったら、今度は丁重に、そして今度は荒っぽく、的確に攻め立てられて。
しつこいまでに慣らされた万里の身体は、既に自ら更なる熱を欲するほどに出来あがっていた。
しかし、万里は勝ち気な態度を崩さない。
「確かに今回のイベントはお前らを労るためのものだ。だが俺は雇い主だからな。――だから、」
そこで言葉を区切り、壮絶な色気を含んだ笑みを浮かべながら、誘うように万里は四人を眺めて、それから。
「…お前らに、俺を奉仕させる褒美をやろう」
飽くまでその心は気高いままに、身体に劣情を含ませて。
万里は誘う。自らに凶暴な暗い欲望を抱く、獣のような瞳をした四人の男を。
♂ ♂
入れ替わり立ち代わり四人の男をくわえ込んで、表情はだらしなく快楽に緩んでいるというのに、万里の口からは相変わらずの憎まれ口が零れ出す。
「はっ、下手くそ」
「くぉおおお!!!ご主人様ぁああああ!!!!」
はぁはぁ、とまるで発情期の犬のように、エミリオは狂ったように腰を振りながら自らのいきり立った杭を万里へと打ちこむ。日本人のそれとは違う、黒人特有の、規格外のサイズ。
けれど、ねちっこいまでに解されきった万里のアナルは、彼らの凶悪なペニスを簡単なずぶずぶと飲み込んでいった。美味しそうに。
奥を突かれる度、その前に吐き出された欲望の証が、ずぶずぶと孔から溢れ出していって。
万里の白い太腿を真っ白いそれがつぅっと伝っていくのだ。
「たまらねぇ…たまらねぇよ!!!あんた最高だぜ!!」
後ろから万里を掻き抱くようにして、乱暴な腰遣いで万里の前立腺を攻め立てるエミリオ。
その脇からはラリーにより全身をくまなく愛撫され、既にすっかりと全身が性感帯へと変わり果てていた万里にはそんな柔らかな刺激すらも堪らなかった。
「…ン、ぁ…は、お前、のは…ただ乱暴に腰を振ってるだけじゃねえ…かッ、ぁ、この…駄犬、がッ」
ジャッキーが腹につくくらいに大きく育った万里のペニスを美味しそうにくわえ込んで、トムがエミリオと万里の繋がっているところを舌で抉るように攻め立てる。
ひとりでは、得られないその狂おしいまでの快楽。
ぼんやりと涙で歪む視界で先ほどから静かにこちらを眺めているアルバートを見遣れば、相変わらず食えない笑みを浮かべながらも黒人と万里の絡みに興奮したらしい。すっかりと浴衣の一部分だけが不自然なくらいに盛り上がっていた。
にたり、笑う。
後で自分にしっぺ返しが来ると解っていても。否、解っているからこそ、万里はそれを見逃さなかった。
「なんだ、お前も興奮してんじゃねーか」
全身を四人の男の精液で汚しながら、挑発的な瞳を携えて。
汚されても尚、折れる事のないその圧倒的な存在感。だからこそ、それを手折りたくなる衝動。そんな相手の考えすら全て解りきった上で、万里は挑発しているのだ。
強烈な色気を含みながら、何処か期待するように舌舐めずりをして万里は紡ぐ。
「折角の褒美なんだ。――お前も来いよ」
更なる混沌の宴への幕開けの合図を。
欲望に塗れた男たちの、淫らな宴のはじまりを。
♂ ♂
浴衣の裾からはみ出す、充血しきったグロテスクな一物。
万里はそれを躊躇う事なく口に含むと、エミリオの揺さぶりに合わせるように前後する。
アルバートから漏れる艶を含んだ吐息。憂うように長い睫毛を震わせ、上品な顔に似合わぬそれを男にくわえさせているその様に。
そして、いつもは偉そうにふんぞり返って、圧倒的な存在感を持った男がそれをくわえ、しかも体中を自分達の良いように弄ばれているという状況に、黒人たちは堪らぬ興奮と劣情を抱いた。
堪らない。この男に着いて、今まで色々なことをして来た。
けれど、これほどまでの興奮を抱いたことは、未だかつてなかった。
当然と言えば、当然だろう。
圧倒的な存在感を持つ、ふたり。絶対的な勝者。何処か逆らえない、否、逆らいたくない。ふたりはそんな魅力を持っていた。
そんな極上の男たちを目の前にして、興奮しない筈がない。有り得なかった。
「ああ、たまんねぇ…」
「楽しい時間は過ぎるのが早いっていうけど―――」
「ぅおおおおお!!!!たまらねえぇええ!!!このいやらしい孔が!俺を!!!誘ってやがる!!!」
「エミリオ、うるさい…」
男達により十二分に拡げられた孔は、既にふたりをくわえ込めるほどになっていて。
とろとろに解れたにも関わらず絶妙な締め付けを与えてくる万里のそれに、すっかりと黒人たちは酔いしれていた。
前は万里に、後ろはアルバートに。かと思えば次には前はアルバートに、後ろは万里に。
更には興奮冷めきれず、万里に突き刺したジャッキーへとエミリオが覆い被さり、その後ろから更にアルバートが覆い被さる。そんな光景を見たラリーとトムは、互いを慰め合う。
上も下も関係なく、それぞれが互いの身体を貪り、今夜限りの快楽に酔いしれる。誰もが皆、この奇妙な宴に酔いしれていた。
肉欲に溺れきった男たちのバレンタインは、まだまだ終わらない――。
狂愛VD★黒人編 -fin-