エリ+モブ主

!雰囲気暗くて想像妊娠ネタ注意

目が覚めたら、椅子にくくりつけられていた。
ジンジンと鈍い痛みを感じる後頭部に、ああ、背後から殴りつけられたのだと理解する。…一体誰がこんな事をするのか。思い当たるアテが、あり過ぎた。自分は些か恨みを、買い過ぎている。

「…お兄ちゃん」

いつから、いたのだろう。意識を失っている間になにかを盛られたのか、うっすらと霞む視線の端に、泣きそうな顔をしたエリサの姿がうつる。
最初こそはエリサも同じように連れ去られたのかと懸念したが、それは直ぐに違うとわかる。はっきりとして来た視界にうつった景色が見慣れたものであったことと、エリサの身体は俺のように拘束されていなかったからだ。

「エリサ…!?」
「お兄ちゃん、ごめんなさい…ごめんなさい、お兄ちゃん」
「……っ、エリサ、これは一体なんのつもりだ…!?」
「ごめんなさい、お兄ちゃん」

ごめんなさい、と言いながら俺を見下ろすエリサの目は何処か暗く濁っていって。
いつもの様子とはまるで違うそれに心配になって名前を呼ぶと、エリサの背後から聞き慣れない笑い声がし、その声は不気味に地下室へと響き渡った。

「へー。ほんとによく似てる」

にたにたと感情の読めない笑みを浮かべながら、その男がゆっくりと俺の方へと近付いて来て、エリサと俺とを見比べるようにして視線を向けて来る。
男――というよりかはまだ幼い顔立ちをした少年と言う方が相応しい、容貌。
エリサの、同級生、だろうか。こんな、趣味が悪い芹沢とはまるで毛色の違う、男と交流している?

「………誰だ?」
「うん?俺?俺はねーエリちゃんの友だち。ハジメマシテ、エリちゃんのおにーさん?」

半ば睨みつけるように言えば、男は愉快げにより一層笑みを深くして、怯む事なく俺に更に近付いて来る始末。俺が三宮だと知ってやっているのだとしたら、よほど肝がすわっているのか、或いはただ無謀なだけか。

「――――うん、いいね」

じっと俺の顔を見つめ、なにかを納得したらしい男は、にっこりと笑みを濃くして頷く。
そうして俺に背を向けると、今度はエリサの方へと歩を進め、耳元でなにかを囁いた。………一体、なにがしたいのか全く理解出来ない男の行動に、俺はただ縛られた腕の窮屈さに顔を歪ませながら男の一挙一動に全神経を注ぐ。…もちろん相手が突然変な行動をとっても対処出来るように、だ。

「ねえ、いいでしょう。エリちゃん」
「……そう、ね…。いいわ、好きにすれば」
「へ、ぇ…本当にいいんだ?壊しちゃうかもしれないよ?」
「…別に、いい。壊れても、私が愛している事に変わりないもの。どんなお兄ちゃんでも、私は愛してるから」
「エリちゃんも、難儀な性格だねえ」
「―――あんたに言われたくない」

会話から察するに、この巫山戯た状態はエリサの仕業であることに間違いなさそうだ。その、友人らしき男を使って、俺になにかをしたいのだろう。
可哀相な、妹。強い依存が、エリサの恋慕と情愛の気持ちを錯誤させた。俺を見る目が、好きな男を見る目と同じだったこと。俺へと異常なまでの執着を捨てきれないこと。全て知って、放置した。

逃げた。あの頃の俺らは互いがすべてで、二人がいれば、そして橘がいれば、それで良かった。良いと思っていた。
けれど、今は――もう。

「…だって、おにーさん?」

エリサだって、もう子供じゃない。
俺への気持ちと芹沢に向かう気持ちに混乱し、わからなくなっているだけなのだ。少なくとも、今は。

「………はは、ヒドい顔」
「…はっ。初対面の、それも年上に向ける言葉とは到底おもえねーな」
「あっは。失礼な子でごめんね、おにーさん」

いつの間にか先ほどから立ち尽くしたままでいたエリサは、少し離れた場所から退屈そうに頬杖を突いて脚組みをしていて。
男の肩の向こうに見えるエリサをジッと見つめていると、男は愉快そうにクツクツと喉を鳴らして笑う。…本当に、苛つく男だ。いっそ、才能とさえ言っていいかもしれないレベルに、いちいちカンに障る言い方をする。

「ほんっと、難儀な兄妹だね。バカみたい」

――手放せないくらいなら、最初から手放さなければいいのに。
自分はすべてを解っている、とでも言うかのような台詞にまた、苛立ちを覚えた。

椅子に身体を括りつけられたまま、両脚を大きく左右に拡げさせられて。下手に暴れると椅子ごと後ろに倒れてしまいそうでろくな抵抗も出来ないままに、更に男により両手をも椅子の後ろへと回すように縛られ、完全に拘束されてしまう。

「く…っ、そ…ぁ…っ!!」

もはや殺気すら籠った俺の視線に、男は楽しそうに喉を鳴らすと、閉じられたままの蕾をぐりぐりと円を描くように撫で、小さな指先をつぷりとナカへと侵入し始めて。

「……ヒっ」

ろくに慣らされていない其処に、乾いた指先を突き入れられて。だというのに、すっかりと自分以外の熱に慣れた其処は、容易に細い指先の侵入を許す。

「は、ははは…!傑作。いっつもそんな風に涼しいカオして人のことコケにして。そのクセ裏ではオトコをくわえ込んで楽しんでんだ?」

ぬちゅぬちゅと乱暴な指使いで壁を擦られているというのに、中心はすっかりと熱を持ち始めていた。嫌でも目に入るソレに舌打ちをし、快楽に染まっていく頭を精神力だけで押さえ込み、男を睨みつけた。

「ガバガバだよ、おにーさん。普段からくわえ込んでるのに比べりゃー俺のちんこなんかじゃ物足りねーかもだけど、体力には自信があるから安心してねえ?」

くつくつと喉を鳴らして、男はなにが楽しいのか狂ったように嗤う。

「あっはははは!!!!俺さあ、エリちゃんのこと――エリサのこと気に入ってんだよね。あんたのその目、アイツとよく似てる。―いや、アイツがあんたに似てんのかな。ま、どっちでも良いけど。強気で真っ直ぐで、穢れてるのに心は何処までもキレイなままでさあ。ほんと、反吐が出そうだよねえ。だから――好きだよ。だぁいすき。ねえ、知ってる?男でもさあ、妊娠って出来んだよ。想像妊娠。あんた、自分の血が大キライなんだろ?子ども遺したくなくて色んなオトコをその小綺麗なカオとカラダで誑かしてさあ。キレイなヤツが絶望するカオ、俺大スキなんだよね。それだけで絶頂しそうなくらい。…だから、さ。俺の子産んでよ。エリちゃんの代わりに」

ねえねえ、とその声はまるで子供が親にお菓子を強請るように甘く幼く。だというのに、その言葉は何処までも狂気に満ちていた。
自分より小さな少年に、なんの力もないはずのそいつに、とてつもない威圧感に。

「……お前、頭可笑しいンじゃねーの」

そう言うだけで、精一杯だったのだ――。

「ぅあ…あ…っ、も…く…るしっ」
「あれぇ、おにーさんなっさけないなあ。俺はまだまだ元気だよ?あ、もしかしてトシぃ?もっと頑張ってよ、俺も頑張ってミルク出すからさあ」

椅子に座らされた体勢のまま、何度も何度も腹の中に男のものを吐き出され。少しでも気を抜くと、溢れ出すそこに自然と全神経が集中する。その度に男のものをぎゅうぎゅうと締め付けるのが自分でもわかって、前が見れなかった。

「あっは、きもちィ。おにーさんのナカ」

ガツガツと無遠慮にナカを抉られ、痛みすら感じるというのに。散々ナカをいたぶられた身体は、その痛みすら快楽にすり替える。

声を上げる度、ナカを抉られる度に感じるエリサの視線。エリサの荒い、息遣い。…興奮、しているのだ。実兄のいたぶられる姿を見て。

「はっは、ほんっとエロい兄妹。妹に見られて感じてるの、おにーさん。さっきから意識がそっち行ってるの、モロバレ。ぎゅうぎゅう締め付けて、そんなに自分のはずかしい姿見られるのきもちいーの?」
「…ち、が…っ」
「ほうら、俯いてないで見てみなよ。さっきからおしり掘られてアンアン啼いてるおにーさんの姿見て、エリちゃんも興奮してるみたいだ。モジモジしてるよお?」
「………ッ」
「あっは、また締まった。ド変態だねえ、おにーさん」

殺したいくらいに憎いというのに、その言葉すら快楽に変える身体が恨めしい。こんなガキに好きなようにされてそれを甘受しているだなんて。

「おや、人でもひとり殺したような目をするねえ」
「ああ、叶うなら今直ぐお前を殺してやりてえな」
「ひっひひ、俺を殺したら後で泣くのはおにーさんの方だよ?おにーさんのナカ、もうすっかり俺のものを覚えたみたい。さっきから美味しそうにくわえ込んで離さない」

口での応酬の間も、何度も何度もナカに男のものを吐き出されて。男が動く度にナカから溢れ出す感覚に思わずゾクリと悪寒とは違うなにかに身体が震える。

「あと何日抱き続けたら孕んでくれるか、今から楽しみで仕方がないよ」

死刑宣告にも似た言葉をまるで愛を囁くように言いながら、うっとりと恍惚の笑みを浮かべる男に、半分の恐怖と半分の期待にも似た感情を抱いた俺は、いつからかこの男と同じように狂っていたのかもしれない。

二日目。

男に監禁されて、はじめての夜が明けた。
エリサは橘が心配するからと屋敷に戻ったらしい。恐らく、また何食わぬカオをしてこの部屋を訪れるのだろう。

当て付けと思っていた男の言葉は、どうやら真実であったらしい。
この男は、本気で俺に種付けを施すつもりのようだ。――男である、俺に。

「あはは、昨日より簡単に飲み込んじゃうね。やっぱり、何度も何度も抱いたお陰かなあ?」
「…ぅ…あっ、…ン…っ!!」
「ン?ココがいいの?」
「ぁあ…!そ、こは…っ!」

朝も昼も夜も、関係なしに男に抱かれ続け、男が達して俺のナカに欲望の証を吐き出す度に囁かれる言葉。

「あは、また中出ししちゃった。妊娠しちゃうねえ。でも大丈夫だよ、俺がしっかり面倒見てあげるから」

愛おしそうに俺の腹を撫で、何度も何度もそんな呪いにも似た言葉を投げかけて。

「だから早く、俺の子を孕んでね」

三日、四日、五日。ああ、もう何度夜を明けたか覚えていない。
朝も昼も夜も絶え間なく男はやって来る。食事の時間ですら、男の欲望が含まれたそれを口にさせられ、排泄の時間すら男に良いようにいたぶられ、入浴の時間もなし崩しにそのまま行為へと流れて行き。

男は今日もやって来た。エリサはあれからまだここを訪れていない。もしかしたら、男に止められているのかもしれない。

「ねえ、」

今日の男は何処かいつもとは違っていた。

「………なん、だ」
「此処から出たい?」

いつもは直ぐに俺を押し倒すというのに、今日は何が楽しいのか、俺を後ろから抱き寄せ耳元で囁くようにそんな事を問いかけて来る。

一瞬、その言葉の意味が、わからなかった。思考が、追いつかなかったのだ。

「………、」

>言ったら此処から出すとでも?そんな事する訳がないだろう。この男は、罪悪感に苛まれるようなタイプでもない。飽きたというのも、少し違う気がする。終わり、という言葉が頭を過って男に開発されきった身体が、ビクンと震えた。

「すぐに返事しないんだ?」

意外だと驚くような声色に、ハッとする。
今自分は、なにを考えた。安堵より先に、感じたのは寂しいという気持ち。
認めたくなくて、気付かれたくなくてそっぽを向けば、男はニタニタと厭らしい笑みを浮かべ、だらしなく口許を緩ませた。

「…ふーん。かわいーね、おにーさん」

――可愛いから今日は、甘やかしてあげる。

たっぷり、たーっぷりとね。
耳朶を甘噛みされながらのその甘い囁きに反応するようにひくついた其処に、たまらなく泣きたくなった。

「かわいいかわいい俺のおにーさん。ねーえ、早く俺の子が見たいなあ」
「…ッ、お、れは…お前の兄貴じゃ、…な…ッンン…!」
「なぁに?なにが気に入らないの、ステキな響きじゃない。ただでさえ自分より年下の男に良いようにされてるんだよ?おにーさんなんて、いたいけな子どもを誑かしてるみたい。背徳的で、イイ感じでしょ?」
「……へん、たいが…ッ」
「んー?なあに、もっとミルクが飲みたいってー?しっかたないなあ」

こっちの事などお構いなしに腰を打ちつけやがる。毎日毎日酷使された其処は、すっかりと男の形を覚えていて、今となっては抜かれた時の方が違和感を覚える始末だ。

「何度でも付き合ってあげる。いくらでも俺をあげる。だから、ねえ。」

慈愛すら籠った眼差しで見つめられ、否応なしに身体は熱を持っていく。パブロフの犬のように、その言葉は頭の中で愛の言葉に擦り変わってしまう。そうしないと、気が狂いそうだった。

「この子を殺しちゃ駄目だよ、おにーさん」

揺さぶられながらなにかから逃げるように顔を俯かせれば、いつからかゆっくりと膨らんでいった自分の腹が嫌でも視界に映り込んで来て、もう枯れたはずの涙が一筋、零れた気がした。

いつかの借金を待たせまくって利子が凄くなってるだろうなって思ったから、自主的にお釣りが来るほど地雷埋めときました☆←