夜桜記念に真剣にふざけてなめろうについて考えたらこうなった。後悔はしてない。その…正直ごめん。
「ご主人様……」
とろん、と。蕩けるような眼差しを向け、万里へとしな垂れかかる隼。
寺の息子として幼い頃から「寺を継ぐ義務」を押し付けされ、期待され。それに押しつぶされそうになって加入した暴走族。振りかざす純粋な暴力に酔いしれて…気が付けば、いつしか自分はそれを背負う立場にいた。抑制、抑圧ーーああ、苦しい。
多分、自分は生きながらにしてしんでいた。つまらない人生だった。でも、そんな自分を変えてくれたのは、見つけてくれたのは、この男。
「ご主人様…」
隠そうともしないげんなりとしたその表情に。
「……万里、様…」
「名前を呼んで良いと、許可した覚えはない」
冷たい眼差しと、物言いに歓喜に身体が震える。ーーご主人様は、知らないだろう。
最初は、なんてことない、退屈凌ぎになる、とそう思っただけだったのに。その暴力の腕を買われ、ボディーガードとして雇われてみた。
屋敷の生活は、隼が今まで経験した事のない、驚きに溢れていた。
思わず笑みが毀れる。自分を、自分として扱ってくれる、ここにはそんな人間しかいなくて、蔑まれる事に快楽を覚える事を、知った。知ってしまった。だからーー隼は今日も、気まぐれから渡されたボディースーツを身にまとい、抑圧された自分を、解放するのだ。