主朝

WD朝比奈さんSP直後。

仕事のように足取りこそしっかりとしているものの、その思考は重苦しい。ホテルに帰ったところで1人でもんもんとして気が晴れる訳もない。そう考えると、自然足取りすら重くなってくる。

ー…それでも。先程の彼女を誘えば良かったとは後悔しないのだから、どうしようもない。考えるのは、………

どんどんドツボにハマっていく感覚に頭を振る。それでも何時の間にかホテルに着いている自分に苦笑した。頭が痛いと出てきたのだ、もう今夜は寝てしまおう。心配してメールをくれた親に連絡をいれて自分の部屋に向か った。

「、……?」

仕事柄、セキュリティー面では何処に行っても確認は怠らない。オートロックではなかったから、自分でしっかりと鍵は閉めたはずだが……。開いて、いる。スッと思考が研ぎ澄まされた。用心深く音なく、開ける。何時襲われても対処出来るよう。

………、だが。

「おかえり朝比奈さん。遅かったじゃん」

「な、!みつ、三宮……っ!?」

開いて見えたのは見慣れ過ぎた姿。つい今まで思考を暗くさせていた張本人ではないか。驚き過ぎてまともな言葉が出ない。何で此処に、どうして、何時、………うれ、しい。落ち着いた感情の先に戸惑って胸のあたりを、真新しいスーツごと握ってしまう。

「背後から襲うのもアリかなって思ったんだけど、その前に投げ飛ばされちゃ適わねえし」

それに、ともったいぶりながら三宮は朝比奈の顔に近付いた。

「朝比奈さん、もう俺の香りも、声も。染み込んじまってすぐ分かるもんな?」

「……っ」

分かるはずがないだろう、と怒鳴ってやりたかった。だが、分かってしまうだろうと納得してしまう。押し黙る俺に益々悪趣味に笑う三宮を恨めしく睨むしかない。顔の火照りに、気付かない振りをして。

「ん、ぅ」

近付いて自然にふってくる口付けに陶酔しかけて、…叔父の言葉や彼女がチラついた。軽く三宮の胸を押すと呆気ないほど素直に退かれてしまった。やっておいて落ち込むなど、馬鹿げている。

「どうしたんだ、朝比奈さん」

「み、つみやも、何時か結婚するんだろうな」

口を次いで出たのは。どうして此処に、でもなく。三宮にとっては何の脈絡もない話題だろうに、頭の良い三宮は休暇の理由で察したのかまたニヤニヤと口の端を吊り上げてみせた。

「朝比奈さんは結婚したいのか」

「俺は、…っお前が……!!んんっ、ふぅ…!」

答えを与えず話をすり替える三宮に、声を荒らげる。しかしその唇を再び三宮のそれに封じられ、舌を絡めて翻弄されてしまう。ずるずると扉を伝いながら力が抜けていく躯を恥じるしかない。

「傷心なんだ?俺が結婚したらと思って」

「いい加減に、ぅあ…!」

ぐりぐりと股間を膝で刺激され嬌声が漏れて口を覆う。ああ、親戚も家族もみんな此処のホテルなのか、と白々しく確認するふりをして、三宮は益々羞恥を煽る。…ひどい、男だ。だというのに、余った腕は三宮を求めてさ迷う。その動作に三宮は、ふ…と優しげに笑んで左手の薬指にキスした。

「朝比奈さんは、結婚出来ない」

「、っ」

「俺がいるからな」

そんな躯じゃもう、女なんか抱いても物足りないだろう?優しい顔のまま囁く内容は酷く男のプライドを傷つけるのに。

「慰めてやるよ」

「は、ぁ……っん」

胸に這わす三宮の左手に視線を注いでから、心の中でいっそグチャグチャにしてくれと呟きながら覆っていた手を外して、両方の腕を三宮の方に回したーー。

*頂いたコメント*
口調ほんっと分かんないから違和感あったら書き直すから教えてくらはい(`・ω・´)
むしろ朝比奈さんの前ではご主人様甘々なんだよ知らないのプスー!って時は甘いの書く!
寧ろこうつきの贔屓執事教えろ下さい(`・ω・´)
エロが入れられなかったこと。
それが最大の失敗だ………。

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めっっちゃかわいい!!こうつきにクリティカルヒットだ…!!
しじりはみんな可愛くて推しに悩んじゃうよね。最推しはご主人様なんだけど、最近はお友達の影響もあって、のめさんが好きですv